東京入管イタリア人死亡事件について入管庁に4回目の申入れを行いました。

2022年に東京入管収容中に自死したイタリア国籍のルカさんの死亡事件についてBONDはこれまで継続して真相解明と再発防止を求めて取り組みを継続しています。

2025年11月7日、4回目となる申入書を入管庁に対して行い、ルカさんの死亡事件について、第三者による経緯の検証を行ったうえで事件の調査報告書の作成・公表を行うこと、そして精神疾患・障がいを有する人を収容しないことを求めました。

申入書の全文は以下の通りです。


翌週14日に入管庁から回答が来ましたが、今回もまた、誠意の欠片もない内容でした。庁内で事実確認を行い、問題なかったので報告書の作成も公表もしないそうです。また、精神疾患・障がいを有する人の収容に関しては、精神科を含む医師による診療を受けさせるなど適切に対応していると言います。まったく納得できません。


ルカさんの命日である11月18日、入管庁との意見交換の場を設け、意見交換の後、午後3時から私たちはルカさんが亡くなった東京入管前で抗議のスタンディングアクションを行いました。

意見交換とアクションの様子はこちらの特設サイトに掲載してます。

ぜひこちらもご覧ください

https://withluca-san.studio.site/posts/Y7R-A93Q


申 入 書

出入国在留管理庁長官

 丸山 秀治 殿

2025年11月7日

BOND(外国人労働者・難民と共に歩む会)


 2022年11月18日に東京出入国在留管理局の収容施設でイタリア人Gianluca Stafisso氏(以下、「ルカさん」という)が自死してから3年が経とうとしています。当団体は貴庁に対し、2023年4月20日、2024年11月18日、2025年5月7日と再三にわたって申入れを行い、ルカさんの仮放免許可の取消しから収容、そして自死に至る経緯の検証と調査報告書の作成および公表を求めてきました。しかし、貴庁は非公開の内部調査のみをもって「対応に問題はなかった」と結論づけ、調査報告書の作成と公表を拒み続けています。再発防止策としては、わずかに令和4年12月16日付け入管庁警第216号「被収容者の自殺事案発生に伴う自殺等防止策の徹底について(指示)」において、電源コードの悪用防止、動しょう時の運用、動静把握の徹底、注意を要する被収容者の把握を挙げていました。人を死に追いやった事実を悔いることなく、単に監視を強化して死ぬ手段と隙を与えないことだけをもって再発防止策とするなら、それは単なる貴庁の自己防衛に過ぎません。

 当団体は2024年11月18日付の申入れで、貴庁が精神疾患・障害を有する人を収容せず社会で処遇することとし、現に精神疾患・障害を有する人及び精神疾患・障害の既往のある人を収容しないこと、また収容中に精神疾患を発症した人の収容を直ちに解くことを求めました。精神疾患・障害を有する人の収容に際しては、収容及びその継続の判断も含め専門的な対応が必要ですが、貴庁の看守職員には、精神疾患・障害を有する人に対する必要な配慮、あるいは一見健常に見える人の精神疾患・障害の有無や希死念慮の察知といった知見がないからです。

 しかし貴庁は、本年5月23日に「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」を公表後、被仮放免者の強制送還を推し進めています。深刻な健康状態にある人も、精神疾患・障害を有する人も、そして精神疾患による希死念慮に言及しているかかりつけ医の診断書がある人も、突然収容し、即日または翌日に強制送還しました。困難な状態にある人に対する配慮を欠く強引かつ乱暴な送還に対し、当団体は厳重なる抗議の意志を表します。

 貴庁は、ルカさんの収容時にその精神疾患・障害について情報を得ていながら、精神科医に診せることなく漫然と収容を続けました。その事実のみをもってしても、「対応に問題はなかった」とは到底言えません。人を死のリスクに晒す収容と処遇を改める視点を欠いたまま、十分に経緯の検証をせず、精神疾患・障害を有する人を収容し、命の安全を軽視した送還を続けようとするなら、再び死亡事件は起こります。新たな不幸を防ぐため、当団体は、貴庁に対し下記の事項を求めます。貴庁のご見解を書面にてお知らせください。


(1)ルカさんの死亡事件に関し、第三者による経緯の検証を行うこと。

   そして、その検証結果に基づき、報告書の作成・公表を行うこと。

(2)精神疾患・障害を有する人を1日たりとも収容しないこと。また収容中に精神疾患を発     

   症した人の収容を直ちに解くこと。

以上

BOND~外国人労働者・難民とともに歩む会~

私たちBOND(バンド)は、日本に暮らす外国人労働者や難民のための支援活動を行うボランティア団体です。


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