東京入管イタリア人男性死亡事件について入管庁へ申入れを行いました
2022年11月18日に東京入管で発生したイタリア人男性ルカさんが収容中に死亡した事件について、5月7日に入管庁に対して申し入れを実施しました。
入管庁へ提出した申入書を掲載します。
申入書
出入国在留管理庁長官
丸山 秀治 殿
2025年5月7日
BOND(外国人労働者・難民と共に歩む会)
2021年に名古屋出入国在留管理局に収容中のスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさんが亡くなった。その命日に当たる2025年3月6日、当団体は東京出入国在留管理局に対し、出入国在留管理庁長官および東京出入国在留管理局局長宛て申入書(別添)を提出した。その趣旨は、貴庁における人命軽視の姿勢に対する抗議である。2021年の通常国会において、当時の法務大臣上川陽子氏は、ご遺族の「無念の思いに寄り添い」と繰り返し述べ、「一層手厚い診療、また健康管理などを行うこと」について指示をしたとのことであった。しかし、現状は別添申入書に記載のとおりであり、貴庁の収容施設における被収容者の命と健康に関わる処遇は何ら改善されていない。現に、ウィシュマさん死亡事件の翌年、2022年11月18日には、東京出入国在留管理局に収容されていたイタリア人男性、ジャンルカ・スタフィッソさん(以下、ルカさんという)が自死している。
ルカさんの死亡事件に関し、当団体は2023年4月20日および2024年11月18日に貴庁長官当てに申入書を提出し、ルカさんの仮放免取消しから収容、そして死亡に至るまでの経緯に関する報告書の作成および公表を求めたが、そのいずれにも貴庁は「関係資料等の精査の結果、自殺事案であること、職員の対応を問題視すべき事情は見当たらなかったことなどが確認できた」として、報告書の公表はおろか作成すらする予定はないとの回答であった。人の命を預かる収容施設で死亡事件が発生していながら、内部調査のみで結論とすること自体、貴庁における人命軽視の姿勢を如実に表しており、強い抗議に値する。ついては、下記を改めて申し入れる。
尚、別添申入書は貴庁長官宛てでもあり、同書の申入れ内容である1の長期収容と医療並びに2の監理措置制度に関して、真摯に検討されたい。
記
(1)ルカさんの死亡事件に関し、第三者による経緯の検証を行うことを求める
(2)ルカさんの仮放免取消しから収容、そして死亡に至るまでの経緯に関する報告書を作成し、社会に公表することを求める
以上
今回は文書での回答は求めず、意見交換の場を設けました。その際、入管庁はルカさんに精神疾患があることを知っていたと、初めて認めました。
入管庁は死亡事件発生後、2022年11月22日の参議院法務委員会で、ルカさんの収容中に精神科医師の受診はさせていないと言っています。つまり、精神疾患があることを知っていながら、精神科医に診せず、内科医の意見を聞いただけで、漫然と単独室に収容し続けたのでした。その点を追及すると入管庁は前言を翻し、ルカさんの精神疾患をどのように知ったのか、いつ知ったのか、意見交換の場ではついに答えませんでした。そして、収容から自死に至る経緯に関しては、後日改めて、答えを差し控えると伝えてきました。
入管は、本人に精神疾患があると知っていながら収容し、精神科医を受診させることなく自死に至らしめたのなら、収容中に入管の対応に落ち度がなかったというのは通用しません。この件に関して、きちんと経緯が検証され、納得できる再発防止策が採られるまで、私たちは、いつまでも、何度でも、抗議を続けます。
東京入管イタリア人男性死亡事件の特設サイトでも申入れ当日の報告を掲載しています。
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