日本の難民受け入れ問題(Vol.5)


日本の難民問題シリーズ第5弾。

今回も、引き続き「収容」の問題です。


この記事では、特に「収容施設」の中身、重要な問題点について解説していきます。

では、早速見ていきましょう!



①入国管理局・外国人収容施設はどんなところ?


前回の記事で解説しましたが、オーバーステイなどの入管法違反が発覚した外国人は、入国管理局の施設に収容されます。

まず、被収容者のいる、入国管理局の施設について簡単に見ていきましょう


入国者収容所(センター)

国外退去強制処分にした外国人を送還する為に設けられた収容専門施設です。

国内には、東日本入国管理センター(茨城県)、大村入国管理センター(長崎県)

※ちなみに、東日本入国管理センターは2017年に女性収容ブロックが閉鎖され、男性のみが収容されています。


収容場

各地方入管(及び支局)に設けられた収容施設のことを指します。

大きな施設だと、東京入国管理局、名古屋入国管理局、大阪入国管理局などがあります。


収容の流れ

法律違反が発覚した当事者は、まず地方入管に収容

入国管理局による退去強制手続きを受け、多くの場合は、国外へ退去強制処分となる。

しかし、個々人のやむを得ない事情から帰国を拒否して収容が長くなる人たちが、地方入管の収容場から入国者収容所(センター)に移収される。


したがって、収容場には①退去強制手続き中の者、②退令処分を受け帰国準備中の者が収容されていることになります。



②被収容者の人権について

         (東日本入国管理センター・茨城県牛久市)


ところで、そもそも、「収容」をすることは違法ではないのでしょうか?

通常、収容所のようなところに他人を拘禁すれば「監禁罪」で罰せられます。


では、なぜ入国管理局(国家)には、合法的にそれが許されるのでしょうか?

それは、「被収容者の人権を尊重し、人権侵害をしないこと」を前提にしているからです。


つまり、「法律(入管法)に違反して悪いことをしたから仕方ないんじゃないの」とか「外国人には人権がないから人間として扱わなくてもいいという意見はあまりにも行き過ぎた人権侵害にあたる可能性があるということです。


もう少し言うと、このような人権侵害を認めるような意見は、基本的人権の尊重を定めている日本国憲法を否定することにもなるのです。


③入管施設内の生活

収容施設内の生活について、入国管理局のホームページによると

「保安上支障がない範囲内において,できる限りの自由が与えられ,その属する国の風俗習慣,生活様式を尊重されています」

と記載されています。


とても、配慮しているように書かれていますが、、、

各メディアで報道された記事や映像で収容施設内の様子を見ることが出来ます。


With news 2016年12月31日記事


★英・BBCニュース「なぜ日本は難民をほとんど受け入れないのか」

私たちも多くの被収容者の方と面会してきましたが、実際にはさまざまな問題点が山積みです。


さらに具体的に見ていきましょう。



④入管収容施設の問題点

期限の決まっていない、長期間の収容


1つ目の問題は、「収容期間」の問題です。


まず、入管に収容されると、いつまで収容されるか決まっていません。

被収容者にも収容が解かれる日まで伝えられません。


これはちょっとびっくりではないでしょうか?


例えば、刑務所の場合でも、実刑判決を受けて、「懲役●●年」と決まっていますが、“犯罪者”ではない被収容者を期間を決めないで収容することは、理解しがたい問題です。

このようななかで、収容が長くなっている人では、1年以上も収容されている場合も珍しくありません。


上の記事や映像でも分かるように収容施設の被収容者は外界との関係を遮断されています。

被収容者は平日の戸外運動時間においてさえ小さな長方形の鉄の網で覆われた空しか見えません。

人間の正常な感覚として必要不可欠な時間感覚と空間感覚を奪われています。


被収容者に共通しているのは、収容後3~6ヶ月前後ころから頭痛、目眩、吐き気、食欲不振、不眠等の“拘禁症状”が現れ、それに伴って、体重減や持病の悪化、新たな病気を発症する方もいらっしゃいます。



不十分な医療、ここ5年間で5人も死亡者が出ている


2つの問題は、「医療」の問題です。


施設内に収容するということは、当然、被収容者の体調管理や病気の対応はしなければなりません。


入管のホームページにも記載されているように、施設内に診療所があり、症状によっては外部の病院に通院、入院させるとしています。


ところが、


  ●2013 10月 ロヒンギャ難民が死亡(東京入国管理局内)

  ●2014 3月カメルーン人とイラン人が死亡(東日本入国管理センター内)

  ●2014 11月 スリランカ人が死亡(東京入国管理局内)

  ●2017 3月 ベトナム人が死亡(東日本入国管理センター内)


ここ5年間死亡事故が相次いでいます!


いずれも、入管施設内で適切な医療処置・救急処置を受けることが出来ずに亡くなっているのです。


さらに、私たちの面会した被収容者の話のよると、


  「入管内の医者の診察は1分で終わる。顔すら見てくれない」

  「具合が悪化したから入管職員に外の病院を受診したいといったら、

   必要ないと言われた。」

  「どんな症状でももらえる薬は痛み止めだけ」


1人2人の話ではなく、多くの人が口々に訴えてくる現状は、とても適切な医療が行われているとは考えにくいです。


 上で書いたように、入管の収容は、あくまで「収容されている人たちの人権を尊重し、被収容者の健康と生命を守るという管理責任義務を果たすこと」を前提に付与されているものであるはずです。


しかし、その実態は、この前提の果たされず、人の命が失われるという悲劇を何度も繰り返しているのです。


現在の入管医療体制は外国人の人権や生命を軽視しており、日本の入管は外国人差別をしていると評価されて仕方ない状態だということなのです。



その他にも問題は山積み

 このほかにも、食事の問題、施設設備の問題などなど、施設内の処遇をはじめとする問題は現在進行形で多く残されています。


大阪入管では、今年、イスラム教徒の被収容者に宗教上絶対に食べられない豚肉を繰り返し提供するなどの問題も起こり、大変な問題となっています。



⑤まとめ


では、今回のまとめです。


★入管は「被収容者の人権を尊重し、人権侵害をしないこと」を前提に収容をしている。

★しかし、実態は、いつまで収容されるかわからない、長期間の収容が当たり前、

★医療は不十分で、施設内で死亡事故が毎年のように起こっている

★入管は収容上のミスを繰り返している。



私たちは、支援者としてこのような入管の収容について

「長期収容は人権侵害である」の立場から継続的に支援活動を行っています。

収容所内もしくは送還中の暴行、死亡事件を二度と起こしてはなりません。


日本も加入する拷問禁止条約には「拷問」について次のように定めています。


拷問禁止条約 第一条
1. この条約の適用上、「拷問」とは、身体的なものであるか精神的なものであるかを問わず人に重い苦痛を故意に与える行為であって、本人若しくは第三者から情報若しくは自白を得ること、本人若しくは第三者が行ったか若しくはその疑いがある行為について本人を罰すること、本人若しくは第三者を脅迫し若しくは強要することその他これらに類することを目的として又は何らかの差別に基づく理由によって、かつ、公務員その他の公的資格で行動する者により又はその扇動により若しくはその同意若しくは黙認の下に行われるものをいう。「拷問」には、合法的な制裁の限りで苦痛が生ずること又は合法的な制裁に固有の若しくは付随する苦痛を与えることを含まない。


入管の現実である、まさに「拷問」に等しい劣悪な収容環境と長期収容は社会的にも問題視していかなければならないのではないかと考えます。

この現実について、少しでも多くの方に知って、考えていただければと思います。


次回は、「収容問題」の最終回です。お楽しみに!

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