【修正協議ではなく、廃案に!】入管法改悪法案に関して野党への申入れ
2023年3月23日、入管闘争市民連合の学生支援者を中心に、現在国会で審議されている入管法改定案を廃案に向けて闘ってもらいたい旨の申入れを野党に対して行いました。
日本共産党、社会民主党、国民民主党、れいわ新選組、立憲民主党の5党(申入れ順)の代表の方々に対して行い、要望書の提出とともに、学生支援者から「修正協議には応じず、廃案一択で闘ってください。」という訴えを届けました。また普段現場で支援活動を行う支援者から、なぜ廃案一択なのか、現場入管では何が起きているのかを知ってもらうため、具体的な現場の事例や当事者からの訴えを用いて説明を行いました。
(1)日本共産党
(2)社会民主党
(3)国民民主党
(4)れいわ新選組
(5)立憲民主党
◆ 申入れを受けて野党議員・代表の反応
申入れを行った議員の方々からは、
「こんな具体的な問題については知らなかった。」
「現場のことを詳しく知らないので皆さんから聞けて良かった。また聞かせてほしい。」
「どう廃案に追い込むか、一緒に頑張りましょう。」
というような反応が聞かれました。
◆ 申入れを経て
議員の方々は現場の状況、当事者の帰国できない切実な事情、現場の実態をよく知らないのだと改めて実感しました。国会の中で闘うのは野党議員の方々ですが、廃案一択を貫いて闘うためには日本社会の大きな反対世論が必要です。また、なぜ修正ではなく廃案にすべきなのか、何が問題なのか、どのように解決すべきなのかについても、実際に現場で支援している学生・市民の支援者、当事者からもっと伝えていかなくてはなりません。
当事者の切実な訴えについては全3回にわたる院内集会で発信しました。そうした、どうしても帰ることができない事情を抱える当事者の声、現実から出発して廃案を求め、追い込んでいかなくてはならないと思います。
立憲民主党、日本共産党、社会民主党、れいわ新選組、国民民主党
各党御中
要請書
2023年3月23日
入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合(入管闘争市民連合)
BOND(外国人労働者・難民と共に歩む会)
START(外国人労働者・難民と共に歩む会)
TRY(外国人労働者・難民と共に歩む会)
市民の人権擁護のための貴党の普段の活動に敬意を表します。「入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合(略称:入管闘争市民連合)」全国各地の入管問題に取り組む団体・学生や市民の力を集め、入管法改悪阻止と戦後入管体制を改革していく闘いを全国的に作り上げていくため、2021年12月11日に結成された団体です。私たちは、政府が3月7日に閣議決定し、通常国会に提出入管法案の成立に強く反対し、廃案を求めて下記の通り要請致します。
記
この度政府が国会に提出した入管法案の目的は、入管の法的権限を更に強化し、入管が「送還忌避者」と呼ぶ、退去強制処分を受け、送還の対象となっている人たちのほとんどを罰則や規制等を設けて送還を促進しようとするものです。法案が成立されてしまえば、送還を忌避せざるを得ない人たちの、自殺を含めたより強い抵抗を招くものであり、「送還を促進する」という目的と矛盾することは明らかです。
入管庁は「送還忌避者数」が、3,103名であると発表しています(2021年12月21日時点)が、問題は、この送還の対象となっている3000人強の中に、難民不認定となって退去強制処分となった難民の人や、在留特別許可を与えられないまま送還を「忌避」せざるを得ない人たちが数多存在していることです。また、入管がいう3000人強の「送還忌避者」数は、2000年から現在までに蓄積された累計数であり、毎年3000人の「送還忌避者」が増えているのではありません。私たちが把握しているところ、退令仮放免者の最長期者は21年で、15年、10年以上の人も含めると、その人数は相当の数にのぼります。そのうえ両親が仮放免者で、日本で出生し、生まれながらの仮放免者となった未成年者など、未成年仮放免者が約300人もいます。帰国すれば投獄や命の危険に遭う恐れがある難民の人たち、退去強制によって家族の結合が破壊されようとする人たち、日本で生まれ育った子どもやその親の人たち、さらに20年、30年以上も日本に滞在し、本国での生活基盤を失い日本で生活基盤を築き、平穏に暮らしてきた非正規滞在外国人の人たちは、退去強制に従うことはできず、当然、送還に抵抗します。 このような送還を「忌避」せざるを得ない人たちに、刑罰等を科すことで送還を促進することはでき得ません。なぜなら、刑罰を科したところで、難民であることや子どもの将来や家族や家庭を失うことなど、送還を「忌避」せざるを得ない事情に変化が起きるわけではないからです。
そもそも、退去強制処分となっても帰国を拒否する「送還忌避者」が増大しているのは、なぜでしょうか。それは、国際難民条約に基づいて保護すべき難民を、難民認定の国際基準であるUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)のガイドラインからかけ離れて難民認定制度を運用し、難民と認定せず、退去強制処分を下していること、そして国内法上の措置である在留特別許可の基準を緩和するどころか、反対に基準を厳格化し、人道上の重大な事由がある人への在留特別許可を与えず、退去強制を受け入れることができずに日本に留まらざるを得ない「送還忌避者」を入管が自ら増大させてきたことに原因があります。 入管は、この自ら招いた問題を直視せず、送還一本やり方針で「送還忌避者」を削減しようとしてきました。その最悪の結果が、大村入国管理センターにおけるナイジェリア人見殺し餓死死亡事件(2019年)、名古屋入管における ウィシュマさん死亡事件(2021年)をはじめとする、各入管収容施設でより一層頻発した様々な死亡事件や暴行・傷害事件です。入管は、こうした施策によって起こった結果の重大性について真摯に顧みることなく、引き続き「送還忌避者」を収容し、送還しようとしています。そして法案を再提出して、入管の権限を更に強化しようとしています。
私たちは、このような入管行政の在り方に断固異議を唱え、法案の成立に反対します。「送還忌避者」問題は、すべての「送還忌避者」を送還しようとすることではなく、①国際基準に基づく難民の受け入れ、②在留特別許可の大幅緩和によって解決すべきです。私たちは、入管の方針転換による送還忌避者の削減によって、入管収容施設の長期収容問題も改善できると考えています。 現在、未成年者の仮放免者は約300人います。未成年仮放免者の両親を含めれば、おおよそ500~600人の未成年仮放免者とその家族がいることになります。日本人配偶者や永住権や定住者の在留資格のある外国人の配偶者(実子のいるいないを問わず)、在留歴の長い移住労働者、その他、人道上保護すべき重大な事由がある人(例えば、ウィシュマさんはDV被害者として保護すべき対象として扱うべきでした。)もいます。これらの人たちへ在留特別許可を付与し、救済すること。そして、国際基準に基づいて難民認定すること、さらに難民在特で救済することで、大幅に「送還忌避者」を削減することができます。
以上の理由から政府法案の成立に反対し、法案廃案を求めます。貴党におかれましては、政府法案に絶対反対の立場でのぞみ、法案の廃案に向けて市民と共に闘っていただくことを要請します。
以上
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