【入管法改悪反対】署名の第一次提出を行いました!
2023年3月30日、参議院議員会館で「第一次署名提出・記者会見」を行いましたので報告します。
▶︎ 署名提出の趣旨
署名ページ:https://chng.it/qPpPK2dx
この法案は2年前に多くの反対世論によって廃案になった法案とほぼ同じ骨格を維持しており、具体的には3回目以降の難民申請をしている人は強制送還を可能にしたり、今の仮放免制度よりも厳格な監視のもとに当事者を置く、「管理措置制度」などが盛り込まれていて、帰国できない事情を抱えた約3000人の「送還忌避者」の事情を全く考慮せず一方的に追い返そうとする、送還一本やり方針を強化し、入管の権限を強めるため法案です。
私たち入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合(入管闘争市民連合)は2月23日の全国9か所でのデモや、東京(国会前)、大阪では毎週シットインなどの活動を継続し、法案の廃案を求めて取り組んできました。そして1月25日から開始した、法案の提出、成立に反対するオンライン署名について、3月28日までの第一次集約で集まった20753筆を、入管庁に対して提出しました。
入管庁のいう 「送還忌避者」 は、ただ帰らないのではなく、帰れない切実な事情を抱えています。だから、今回の入管庁が出した法案にあるように、本来速やかに難民として認めるべき人を強制送還できるようにしたり、刑罰を科したとしても、犠牲者が増えるだけで、決して問題は解決しないこと、必要なのは、入管法の改悪ではなく、帰国できない切実な事情を抱えた人、たとえば母国で迫害のおそれがある難民、日本に家族がいる人、生まれたときから日本にいる人、日本に生活基盤がある移住労働者・未成年者などが、日本で安心して暮らせるように、生きるために必要な当たり前の権利を、在留資格を付与することだと訴えました。当事者も、「帰国したら殺されてしまうから、日本に在留することを求めているのに、国際基準とかけ離れた日本の難民認定制度のもとで難民と認められず、入管に何度も、何年も収容され、国に帰るまで、死ぬまで、身体的精神的暴力を受け続ける。私の心は死にました。国は、私たち外国人にルールを守れと言うけれど、国連のルールも、人権を守れという日本の法律も、全然守っていない。」という声が上がっています。この法案は、日本政府、入管庁が自らの外国人差別を正当化するためのもので、本当に 「人を殺す」 法案であり、私たち市民は、 「人を殺す」 法案には、断固として反対であることを表明し、署名を提出しました。
政府、法務省、入管庁に対し、ここに集まった20,753人の多くの反対世論を真摯に受けとめ、当事者の置かれている状況に耳を傾け、問題解決に向けて本当に必要なことは何かきちんと考えること、そして入管法の改悪法案を廃案にすることを強く求めました。
▶︎ 受け取った入管庁担当者の対応
署名を受け取った入管庁の担当者からの返答としては、小さな声で「ご指摘については真摯に受け止め、適切に対応させて頂きます」という言葉があったものの、「この署名を持ち帰ってどうするのか」「法務大臣にきちんと伝えるのか」といった記者からの質問に対しても同じ言葉を繰り返すばかりでした。
▶︎登壇者より
署名提出した市民連合の構成団体のメンバーや同行した方々からの意見を紹介します。
・BOND〜外国人労働者・難民と共に歩む会〜学生メンバーMさん
私たち、BOND〜外国人労働者・難民とともに歩む会〜 は、日本に住む難民や移住労働者など、在留資格を持たない、又は失った外国人の支援をし、問題の根本的解決を目指して活動している団体です。
日本には、母国で迫害のおそれがあるのに難民と認められない人、帰れない切実な事情を抱えているのに在留資格を認められない人が、実際にいます。それなのに、入管庁、政府は、実情を見ようともせず、自分たちの権限を強め、「帰れない」人を無理やり帰らせる、難民を難民と認めないで刑罰を科す、それで自分たちの外国人差別、排除を正当化しようとしています。人を殺して、取り返しのつかないほど権利を踏みにじって、家族を引き裂いて、人生を台無しにして、これ以上何がしたいんですか。入管庁は一体、何を何から守っているんでしょうか。
同じ日本社会に生きる私たちも他人事で済まされる問題ではないと感じます。抗議の声をあげないと、黙認、肯定と受け取られます。政府の殺人行為に加担することになります。今回の入管法の改悪法案は、絶対に成立させてはいけません。当事者の命がかかっているんです。私たちは主権者として、入管法改悪を許してはならない、断固として反対しなければなりません。
入管法の改正・改悪は必要ありません。政府は、国際基準に基づいて、他国と同じように難民を受け入れること、そして在留特別許可の付与基準を大幅に緩和することによって、当事者を救済し、問題を解決すべきです。
先週私たちは野党5党を回りました。当事者の置かれている状況に目を向けたら いかに政府の方針が矛盾だらけか、問題解決に向けて本当に必要なことは何かを直接伝え、入管法の改悪に徹底して反対を貫くべきだと話しました。私たちは、法案反対の世論を高めていくと同時に、野党各党においても引き続き、当事者の命と権利を守るために、共に闘うことを求めていきます。
当事者の、そして私たちの声を聞いてください。当事者の置かれている状況を知ってください。今まで何人もの人を殺してきたのに、何の反省もせず、誰も責任を取らない、そんな政府が出した「改正」法案には、何の正当性もありません。私たち市民は、当事者の切実な訴えに連帯し、反対を貫くべきだと考えます。
入管法の改悪案は廃案一択です。絶対に廃案に追い込み、当事者に在留資格が与えられるよう、これからも共に声を上げつづけます。
・BOND〜外国人労働者・難民と共に歩む会〜学生メンバーFさん
私たちBONDは、今までたくさんの当事者にお会いしてきました。ですから、入管法改悪によって人生・そして生命が脅かされる人たちがどんな人なのか、私たちは一人一人の顔を思い浮かべることができます。
入管庁は、個々の事情を見て見ぬふりをして、送還を忌避する外国人を全て犯罪者だテロリストだと決めつけて、一括りに排除してしまおうと考えています。でも、いくら入管庁が無視しても、帰れない事情がある人たちは実際にいるんです。
帰れない事情を持つ人をとにかく国外に追いやろうとするこの入管法改悪案は、現状の問題を何一つ解決しないだけでなく、労力をかけて、すでに苦しんでいる人の首をさらに絞めるようなものです。人を不幸に陥れて、一体どこが「改正」なんですか。
私たちだけではありません。実際に多くの国民、市民がこの入管法改悪法案に危機感を感じ、なんとしてでも成立阻止しなければならないと真剣に考えています。その証拠に、2月23日に行った入管法改悪反対全国一斉アクションでは、全国で合わせて1000名、東京のデモにはおよそ400名が集い、入管法改悪案は廃案一択、絶対に成立阻止、そう共に声をあげながら上野の街を歩きました。
また、私たちは毎週金曜日に国会前で入管法改悪反対の座り込みもしています。ここにも、毎回新しい参加者が来ています。初めて市民運動に参加したという人も多くいます。
それくらい自明の改悪案なんです。検討の余地すらありません。
でも、この法案の恐ろしさを理解していない人が、まだたくさんいます。国会議員の皆さん、「知らなかった」で済ませようとするのは、もうやめてください。明確に反対してください。入管法改悪案に賛成するということは、入管庁の人殺しの片棒を担ぐということです。考えてください。そんな日本でいいんですか?入国管理や難民受け入れで人が死ぬ、そんな日本で本当にいいんですか?
私たちは日本国民として、入管法改悪を絶対に許さない。もっと多くの人に問題を知ってもらうために、そして廃案に追い込むまで、引き続き主権者として声を上げ続けます。
・POSSEメンバー Tさん
入管法の改悪に反対するのは、すごく単純な論理です。「人を殺すな」というメッセージです。それを重く受け止めていただきたいです。
私は技能実習生や仮放免の人の労働相談を受けています。毎日、生活ができない、使い捨てられている、人間として扱われていないという相談が来ます。今回の改悪は、入管による外国人の使い捨てを、さらに強化するものです。入管が「この社会に必要がない」と判断したら、強制的に帰国させることができてしまう。
私たちが求めているのは、入管法の改悪案の廃案です。ただその先にも、実現したいものがあります。在留資格が当たり前に出される、ひいては在留資格があってもなくても、誰もが社会保障にアクセスできる、そういう社会じゃないと、差別はなくならないと思います。
この闘いは長いものになるだろうけれど、ここにいる誰もが思っているように、変わるまで絶対にあきらめない。皆さんの力で、改悪案を廃案に持っていきましょう。
POSSEのホームページはこちら
・仮放免当事者 Sさん
わたしはパキスタンから来た、帰国すると命の危険がある難民です。
入管に収容されたことがあります。、そのときは、どうなるかわからなくて、寝られなくて、ずっと泣いていました。家族と暮らしたい。わたしが求めていることはただそれだけです。
私は仮放免者で、働いてお金を稼ぐ権利がありません。 生活は奥さんや奥さんの家族が支えてくれたり、家で野菜を育てたり。そういう生活は、まだ終わっていません。難民として認められなかったら強制送還されてしまう。強制送還されるなら、「送還忌避罪」で刑務所に入った方がマシだ。自分の人生は日本にしかない。奥さんといたい。しかも奥さんは重病を患っている。誰も奥さん の面倒をみる人がいない。
奥さんと離れたら、日本にいられなくなったら、もう何も残らないから。
・小説家 中島京子さん
私は在留資格のない外国人と日本人のシングルマザーの女性が恋愛して結婚をする、『やさしい猫』という小説を書きました。その時に、入管や在留資格のことを知り、勉強したということがあり、その新聞連載をしていた頃に、前回の入管法改悪案が出てきて、その時ちょうどウィシュマさんが亡くったこともあり、本当にみんなで反対して廃案になったということがありました。だからそれとほとんど同じ法案を出してくるというのは、随分だなと思います。市民の反対の意見を舐めているのかと、すごく感じます。
これについて私なりに考えたのですが、在留資格を与えたり、与えなかったりするっていうのは、入管庁が決めているわけです。「入管が」決めた「日本にいてはいけない人」が、「いてはいけないと言っているのに帰らない」ことが、入管では問題になっているということです。それぞれ帰れない切実な事情のある方なのに、それは脇に置いて、「入管が」帰れと言っている、帰らない人たちを送還忌避者と呼んでこれが大問題だから改正が必要だと言っている。
そして、難民申請三回目以降でも強制送還できるとか、そういう内容の法案を通そうとしている。これはとんでもないことだと思います。つまり私 (入管) が帰れといっているのに帰らない人を追い返すための法案で、入管が日本にいてはいけないと決めた人を追い出すためだったら、ちょっとぐらい難民が死んでも構わないっていう法案なんです。本当にちょっと考えてみればすごく恐ろしい法案だと誰でも分かることだと思います。それで二年前にみんな反対したんだから。それをどうしてまた出してくるのか、というのがひとつあります。
入管は、自分たちがすごく適切に判断するから問題ないと主張するかもしれないけど、二年前のウィシュマさんの事件でも、結局誰も責任を取ってなくて、そういう人たちが、私が帰れと言っているのに帰らないから返す法案を作るんだ、と言っている。それはどう考えてもおかしい。本当に考え直していただきたい。
・指宿昭一弁護士(ウィシュマさん事件弁護団)
入管庁あるいは斎藤法務大臣は、保護するべき人は保護しているので、そうでない人に帰ってもらうための法案だ、という風に説明しています。保護するべき人は保護している、これを決めているのは入管です。「入管が」 保護すべきでないと決めた人は帰ってください、この返すための手段がまだ生ぬるいから、そこをもっと強くさせてください、こういう法案なわけですね。その強くする方法として、刑罰を科したり、難民申請中であっても強制送還できるようにしたり、ということを言っている。でもこれは入管のフリーハンドなんです。「入管が」 保護すべきだと考えたかどうかで見ている。我々、あるいは学生支援者が言っていたけれど、面会していてたくさんの被収容者あるいは仮放免者と接していて、保護すべき人が保護されていないというのが実態じゃないかと感じてるわけです。
我々の肌感覚として、保護されるべき人が保護されていないんです。これは難民申請者についてもそうだし、日本に家族がいで強制送還されれば家族がバラバラになってしまうケース、日本人の配偶者と結婚してる方のケースもそうですし、あるいは在留資格のない未成年者、日本で生まれたり小さい時に日本に来た人たち、この人たちは何で強制送還しなきゃいけないのか。この人たちが 「保護すべき人」 に入っていないのはなぜなのか。このように疑問だらけ、矛盾だらけなのに、表面的に言葉としては 「保護するべき人は保護している」 と言って、送還忌避者には前科がある人がこんなにいるよとか、そういうデータを非常に恣意的に、イメージを操作して、この法案を通しているんだと思います。
だからこの法案はそもそもおかしい。作る必要がない。むしろ本当にやらなくてはいけないのは保護するべきを保護することです。それをやらないで強い権限を入管に与える、この入管法改悪法案に、絶対に反対します。
・立憲民主党 石川大我議員より
国会議員の一人ひとりが、この法律が ”人を殺すもの” だということを、受け止めて審議しなければいけないと思っています。私たち立憲民主党は、この改悪に代わるものとして、難民保護などの提出準備をしっかり頑張っているところです。
二年前は市民の力で廃案になりました。政府は関心がなければ強行採決をしてでも通そうとするが、世論があって審議を止めたといえます。国会でも頑張るが、市民の皆さんが担っていることでもあるので、連携して頑張っていきたいと思っています。
▶︎最後に
入管がいくら保護すべき人を保護していると言っても、帰国できない事情を抱えた人たちを無視して、無理やりに送還しようとしている、それが入管法改悪案のの中身なのですが、当事者の方々は本当に帰国できない切実な事情を抱えています。誰が見ても帰国できません。日本以外に行ける場所はありません。そのような人たちを国に返そうとする、この入管法改正案は、絶対に廃案にしなければなりません。
帰国できない事情、一人一人の事情に耳を傾けて、適切に在留資格を認め、国際基準に基づいた難民認定を行っていく。そうすることによって、入管庁が主張している 「送還忌避」 の問題は解決します。
本当に一刻も早く、帰国できない切実な事情のある方々が、安定して生活できるように、在留資格を与えるべきです。廃案にすることを求めて、当事者の道理ある主張に連帯して、私たちも徹底して闘っていきましょう
▶︎引き続き署名を集めます!
これから本格的に国会での審議がはじまります。私たちは、人の命や健康よりも送還を優先する入管の強硬方針をさらに強める、この入管法改悪案には引き続き強く反対の声を上げ続けます。今日第一次で署名を提出しましたが、引き続き署名を集めます。
また、1月末から継続している毎週金曜日18時からの国会前でのアクションも引き続き行って参ります。
一昨年も多くの反対世論の高まりによって法案は廃案となりました。この廃案一択です。引き続き私たちとともに多くの方に関心を持ち、共に入管法改悪反対の声をあげてほしいと思います。また国会の中においては野党各党においても共に闘うことを引き続き求めていきます。
署名ページ:https://chng.it/qPpPK2dx
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